不動のものになる!!

ある日、Aさんが桜の種を二つ、土に蒔きました。

Aさんは、毎日、ワクワクしながら水をあげました。
どんな綺麗な桜が咲くのか楽しみでした。

Aさんの期待に応えるべく、二つの種はそれぞれ考えてました。

一つ目の種は、Aさんの喜んだ顔が早くみたいと思い
上に上に早く成長して一日でも早く花を咲かせようと決めました。

二つ目の種は、Aさんに立派な花を咲かせて喜ばせてあげたいと思い
下に下に根を下ろして、毎年、立派な花を咲かせようと決めました。

もちろん、Aさんはこのことを知りません。

二つの種は、同じくらい芽を出し、根を出し始めました。
Aさんは、大変喜び、毎日水をあげながらワクワクしてきました。

その後、一つ目の種は、葉や茎を上に上にの伸ばし始めました。

その後、二つ目の種は、固い土をほじくり返しながら根を広げ始めました。

Aさんは、一つ目の種が自分の期待通りに成長してくれるので
喜びと満足の気持ちを語りかけてくれます。

逆に、二つ目の種は自分の期待通りに成長してくれないので
罵声の言葉を浴びせていました。

やがて、一つ目の種は蕾が出来ました。
Aさんは、もうすぐ自分の蒔いた種から念願の桜の花が咲くことが
嬉しくて嬉しくてタマリマセンでした。

二つ目の種は、地面の中で、固い土と奮闘しながら
Aさんの目に見えないところで確実にしっかりと根を張らしていました。

Aさんから無視されても、めげないでただひたすら根を広げていました。

いよいよ、一つ目の種が綺麗な桜の花を咲かせました。
それを見たAさんは、今まで一生懸命お世話してきたことを誇りに思い
感極まって嬉し涙を流しました。

その姿を見て、一つ目の種も”目的”が達成できて大喜びしました。

Aさんが一向に評価をしてくれなかった二つ目の種でしたが
深く、広く、がっちりとした根を大地に張り巡らせることが出来たので
その根から一気に養分を吸い上げて、いよいよ上に伸びることにしました。

一つ目の種に比べて、二つ目の種の葉や茎は太さや大きさが違ってました。

しかし、Aさんの目にはそれは映らず
”今頃になって何だよ! 遅いんだよまったく!”と
期待通りに咲かなかったことにハラを立てているようでした。

そんなことはお構いなく、二つ目の種は成長していきました。

年が明けて、桜の花が咲く季節になりました。

二つ並んだ桜の木。
しかし、花の大きさや美しさはまるで違いました。

この時、Aさんはようやく気が付いたのです。

遅咲きであった二つ目の種から出来た桜の木の幹の太さ、葉の大きさ、
そして、大地に根付くどっしりとした根のことを。

この年、季節はずれの超大型台風がやってきました。

二つの桜のことが心配なAさんでしたが自然には逆らえません。
叩きつける雨の音、壁に容赦なく吹き付ける暴風の音、
Aさんはなかなか眠ることが出来ませんでした。

長い長い夜が明けて、台風一過の青空の下で
Aさんが桜の木を観に行きました。

二つ目の種の桜の木は、何食わぬ顔で平然と立っておりました。

しかし、根を疎かにした一つ目の種の桜の木は倒れていました。

二つ目の種の桜の木は、
”目的”通りに毎年、立派で綺麗な花を咲かせ続けました。

Aさんは、この二つの種がしたことから
大切なことを学んだのでした。

~~以上、私の勝手な作り話でした。~~

根(基本)を大切にしなければ長く大成することは出来ません。
しかし、根を張る作業は固い土を掘り続ける地道な作業でしんどいです。

結果が見えていれば賞賛の言葉をかけてもらえますが
見えなければ声ひとつかけてもらえることはありません。

ここで諦めて止めるのか、目的を達成するまで続けるのか?

殆どの方が、早く答を出したくて上の方ばかり見ています。
だけど、チュウインガムと一緒で味はすぐ出ますが
味がなくなるとすぐに捨てられます。

ひとつの事を成し遂げた方々は下の方、基本を常に大切にします。
基本を積み重ねていきながら試練にも耐え抜いて前進することのみ考え行動します。

荒波に揉まれて育つ昆布のように
噛めば噛むほど深い味が出てくるのです。

私は、亡くなった親父に常々、
チュウインガムには絶対になるな、なるなら昆布になれ!!!
と言われ続けました。

『不動のものになるためには、
      いつまでも倒れることのない不動の根を張れ!』

お互い、人生をかけて不動の根を張り続けていきましょうね!

      感謝

About まっちゃん

◆1968年生まれ◆中京大学体育学部 体育学科卒◆競技歴 陸上競技15年◆自己ベストタイム100m 10秒5(手)10秒68(電)
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